おつかいものとは?上流階級の言葉
ある日、人生で一度も訪ねたことのない江戸時代から朝廷や武家への商売を続けている老舗にお買い物に行ったときのことでした。おかみさんが「おつかいものですか?」と尋ねられたので「???」となってしまいました。わからないまま「はい」と答えると、別に贈答用の箱に入れるでもなくただ袋に入れてくださいました。
おつかいものって何?日本語の不思議
私はそのとき「おつかいもの」を「お使い物」と瞬時に解釈し「はい」と言ってしまいました。つまり「おつかいもの」は「お使いで買いに来た物」と解釈したのでした。後でインターネットを見てみると「おつかいもの」は「お使い物」ではなく「御遣い物」という意味で私の解釈では遣いの物が持っていく物、つまり賄賂であるとか貢物を意味する言葉なのでした。つまるところ「御遣い物」という言葉はそこそこ高貴な身分の人間が賄賂や貢物を(奴婢などの下人や下男)に運ばせて遣いの部下を高貴な身分の家の主に贈るという意味だったのでしょう。それが現代では身分平等であり下の者でも言葉に接する機会が増えて単なる「贈り物」という意味に変わったようです。おつかいものは下級武士以下の末裔の人々は知らなくて当然の言葉だったのだ!「お遣い物」は上流階級に接する機会のある商人や貴族の関係者だけが知っている言葉ともいえましょう。賄賂と言うと悪いことをするという意味なので「御遣い物」という言葉を使って自分たちの行為を造語を作って正当化したことがこの言葉のはじまりかもしれません。「賄賂用ですか?」なんて図星を言うと貴族はその通りなのに逆切れしますからね。悪人ほど事実は正直に認めたくないものなのです。
お使い物と間違って使っている人も
「おつかいもの」という言葉を知らないからといって知らない人を馬鹿にしてよいという理由にはなりません。「おつかいもの」を知らない人を馬鹿にしている人の中にも「お使い物」と思い込んでいる無知な人がいます。しかしそれらは知ったかぶりをして実は知らないで使っている人や下流の人々を差別することと同じなのですから悪行を重ねたくなければやめたほうがよいでしょう。むしろ知っている人でさえも意味を知らずに使っていることの無知と言葉の罪深さを知ったほうがよいかもしれません。御遣い物とは、賄賂と縁のある人が頻繁に使う言葉なのでしょう。ある意味腐った風習がよいことだという意味を持たせるために作られた都言葉であるかもしれません。私たち日本人は定期的に利害関係のある者に賄賂を贈ることを腐った行為であると認識すらしてませんから。